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「冗談じゃねー!」
俺は思わず立ち上がった。
「はい。千夜くんの仰る通りです。冗談ではありません。真実です。配役を決める時、その場に居なかったのが悪いんですよ」
「そういう意味で言ったんじゃねー!王女役は、鈴木が演じれば良いだろ」
「僕は監督兼脚本係です。じゃあ、お互いの役目を交換しますか?」
鈴木の奴…俺には出来ねーと思ってワザと言ってやがるな。
だが、実際、劇での台詞や人物の動きに立ち位置…。
その他諸々、俺には務まりそうにねー。
その時、黙って俺等の会話を聞いていた香澄が言った。
「千夜くん。王女の相手役の騎士役は私なんだけど…それでも嫌…?」
香澄の言葉に黒板をよくよく見ると、確かに主人公の騎士…ナイトハルト役の欄には『諸橋香澄』と書かれていた。
「嫌なものを無理に演じさせても良い劇には、ならないでしょうからね。僕の役目は別の人に譲って王女役は僕が、なりましょう」
「ちょっと待て。満場一致で決まった事だろ。確かに話し合いをサボってた俺も責任を取らないといけねーしな。潔く王女役を引き受けるぜ」
ところが、香澄の表情は冴えねー。
「私の相手役をしたいって素直に言ってくれたら良いのに…」
そんなの暗黙の了解だと思ってた。
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