文化祭に向けて

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付き合い始めの頃から感じてたが、香澄はどうも俺の気持ちをハッキリ言葉にして欲しいと思っている節がある。 まあ、そこも入れて好きなんだが。 「俺、香澄の相手役してー」 「千夜くん…」 香澄は嬉しそうな表情に変わった。 「良いんですよ、千夜くん。無理しなくても」 「無理してねーよ」 何か…まんまと鈴木の口車に乗せられた様だが、お陰で劇中でも香澄と絡める。 「解りました。あらすじは王女が魔王に攫われてそこを主人公である騎士…ナイトハルトが救出する…と言った内容です」 「凄い、鈴木くん!もうそこまで考えてるの?」 「はい、近い内に台本を皆さんに渡せる様にしますね」 俺は鈴木に耳打ちした。 「鈴木。香澄とのキスシーンも入れろ」 「解ってますよ。出来上がりを楽しみにしていて下さい。千夜くんの演技の良さが、お返しで良いですから」 「ああ。こうなったら、やってやるぜ」 「ねえ、何さっきから、コソコソ話してるの?」 香澄が気にするのも無理は、ねー。 俺は香澄の頭を撫でながら言った。 鈴木も中指でメガネのツルを上げる。 「何、台本を読んでのお楽しみだ」 「諸橋さんにとっても嬉しい事ですので、ご安心下さい」 「?解ったわ。楽しみに待ってる」 その時、チャイムが鳴った。
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