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文化祭に向けて
高校生活最後の文化祭が迫っていた2学期。
俺…千夜保(せんやたもつ)のクラスでも出し物を決める時期が来ていた。
だが、出し物を決めるのは授業のひとコマを削って行われる。
文化祭そのものにも勿論、出し物を決める話し合いなんざ、やってられっかってえの。
俺は決まって出し物を決める時間が近づくと、友人の鈴木航(すずきわたる)に、とっ捕まる前に教室を抜け出していた。
体育館裏でタバコを吸う為でも有る。
そこなら、人けもねーし。
「あー、かったりぃ」
俺は学園行事なんざ、くだらねーと思っているから、本音がつい独り言になって口に出た。
だが、鈴木は今は真面目に教室の中。
恋人の諸橋香澄(もろはしかすみ)も俺や鈴木と同じクラスで、やっぱ教室の中。
俺の本音を咎める奴は誰も居ねー。
体育館裏に着くと、1匹の野良犬が涼しい風に吹かれながら日向ぼっこをしている。
鈴木が校則違反をしてまで、可愛がっている子犬だ。
1時期、べらぼうに増えてた野良犬の数も、鈴木の尽力で里親が決まり、ようやく1匹にまで減った。
俺は子犬が煙を吸わねー様に、風下でライターとタバコを胸ポケットから取り出す。
そしてタバコを口に咥えると、タバコを吸いながらライターで火を点けた。
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