第四章・ー提案とは名ばかりの脅し文句ー

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「……自分ら、大丈夫かいな?」 「はは……。まぁ、一応こうなる事は、予測はしていたよ……」  しゃがみ込み、問いかけると、半ば泣きそうになっているシェイカーが代表して口をひらく。  一見して軽口を叩いているようだが、表情には確かに疲労の色が滲み出ていて、迫力に負けて連れてきた手前、申し訳なさが先立つオフィーリアが返す。 「……まぁ。堪忍な。部長の()()、阻止も出来んで」 「オフィーリアが悪い訳じゃあないでしょ。ちゃんと理解はしているよ」  とはいえ、何だか居心地が悪いのは確かなため、いまだにケーニヒに、言い争いという名の、実に一方的な非難を浴びせている最中のジョシュアに視線を戻す。 「……ほんで。結局どないすんの」 「え。どうするも何も。俺達がちゃんと修繕費を払うよ」 「別に俺は構へんけどな。どっちが払ったかて、直るんは一緒やろ」  困ったように、柔らかそうな前髪を掻き上げるオフィーリアに、今まで無言を貫いていたアンダーテイカーが、決心したように顔を向ける。 「……否。俺もアニーから言われてようやく目が覚めた。今回の一件、必ずお前には迷惑をかけないと誓う」 「うん。まぁそれは大いに()ぇ心掛けなんやけどな。既に俺もトウジも、自分らからめっちゃ迷惑かけられとんねんし」  シェイカーには優しい態度を崩さないオフィーリアも、アンダーテイカーにはまだ怒っているのか、一貫して厳しい姿勢のままで、辛辣な突っ込みを入れるばかりだ。 「それは……。本当に済まないと思っている」 「自分ほんまにそない思っとる? その割には短期間で同じ事やらかすし、微塵も進歩あらへんように思うねんけど」  既にアンダーテイカーから、様々なやらかしで迷惑を被っているオフィーリアには、生半可な反省の言葉だけでは通じない。  あくまでも突き放すスタイルで返すばかりだ。
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