思惑

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 「よお! お待たせ」  皆本孝が微笑みながら言った。  「瑠璃ちゃん。さっき話していたコスモ企画の社長だよ」  「初めまして。山本瑠璃です」  「コスモ企画の皆本です」  皆本孝はユカに名刺を手渡しながら呟いた。  「瑠璃ちゃんと言ったね。 可愛いね。 君なら我がコスモ企画の売れっ子になる可能性があるよ。 どうかね。 契約して、レッスンに励んでみないか?」  「……うーん」 「どうしたんだい? 悩んだような顔付きで」  「あのぅ。 私、レッスン料が払えない」  「なんだ。 そんな事か。 出世払いだよ」  「本当ですか?」  「本当だよ。 私が嘘をつくような人間に見えるかい?」  聖夜が微笑みながら言った。
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