思惑

13/60
前へ
/60ページ
次へ
 「ふん。 見えるわね。 ペテン師に」  山本瑠璃の後ろに立っている、ブルーのスーツの女が言った。  聖夜は視線をあげて女を見た。  聖夜が瑠璃の前に声をかけたハーフ系の女だった。  「君! 人の話に急に割り込んできて失礼じゃないか!」  ハーフ系の女にいちはやく反応した皆本孝が言った。    「良いんだ。 こんな馬鹿女には言わせておけば」  聖夜が孝の肩をトントンと叩いた。  「でも、兄貴……」  「ほーら。 社長が副社長に兄貴って呼ぶ訳無いでしょう。 化けの皮が剥がれたわね」  鼻先に薄ら笑いを浮かべながら女が言った。  「兄貴、まさか兄貴の女?」
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4704人が本棚に入れています
本棚に追加