思惑

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 「彼氏と話で夢中だったの?」  聖夜は、溢れんばかりの笑顔で尋ねた。  「いえ。 彼氏なんていません」  女の子は、真っ赤になりながら右手をブンブン左右に振っていた。  「ここで君と衝突したのは、もしかしたら神様からの私へのプレゼントかも知れない……」  聖夜は、大袈裟な身振りを交えて、さも感動したように演技した。  (我ながら、臭い演技だな)  聖夜の臭い演技に反応して、通行人の中にはカメラマンの存在を疑う人もいた。  女の子は、真っ赤になりながら下を向いていた。  聖夜は名刺を女の子に渡した。  名刺には『コスモ企画』副社長、神城聖夜と記されていた。  「凄いですね。副社長って! それに名前が素敵です。 あのぅ、コスモ企画って?」  女の子が尋ねて来た。  「芸能プロダクションですよ。 歌手、俳優、モデルなど…… まだ出来たばかりの会社なので、これからどんどん素晴らしい新人を発掘して売り出しますよ」  「そうなんですか。 あたしには縁の無い世界です」  女の子が呟いた。
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