友情の印と証

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友情の印と証

 彼女は自分がした行為に気付くと、慌てて何度も謝って来た。 「ほっほほほ、本当にごめんなさい、ワタクシ天使様に何て事を(涙)」 「だっ、大丈夫ですから、ホント気にしないで」 (本当は気が動転する程、頭が混乱し、大丈夫なんかじゃ無かい)    彼女は申し訳なさそうにしながらも、自分の唇の変化に喜んび、一人社交ダンスを始めた。  本ノリ紅いラメの入った唇が月明かりに照らされいっそうキラキラを増し、彼女をより魅力的な女性へと変えていた。    彼女はさっきまで社交界のことで怯えていた彼女とは違い、まるで別人のように自信に満ち溢れいた。  まるで自分はシンデレラに出てくる魔法使いのお婆さんのようだ。 「この口紅が無くても、貴女は凄く魅力的な人だと思います、でもきっとまた不安になるかも知れません。なので、これを貴女に差し上げますね」 「良いんですか?」 「もちろん、僕……ワタシには必要が無いので」 「貰うばかりでは、天使様は失うばかりです、代わりと言ってはなんですが、之をお持ち下さい」  そうして彼女は青白く光る石の中に鮮やかな紋様の入った指環を嵌めてくれた。    それはまるで、雪の結晶を中に閉じ込めたように見えた!?  彼女が言うには 、"守りのリング" と言う物で何か危険が迫る時に色で伝えてくれたり、その他の効果が有るらしい。  ……彼女にも詳しくは分からないそうだ。  現在分かっている色の意味は、赤と黄の明滅になる時、自分の身に危険が近づいているサインだと言う。 「ありがとう、じゃあ友情の印に」 「はい、こちらこそ友情の証として」  僕は天使の振りをしながら、彼女にこの世界のことについて教えて貰った。  ……何故聞くのだろうと?  最初彼女は疑問に思ったが、天界にいるからといって、この世界を自由に眺めることが出来る訳ではないと話すと、それを信じてくれ、色々説明をしてくれた。  でも彼女は、一令嬢に過ぎず、国から出ることが無いのだろう……  彼女が語ってくれた内容には一切モンスターやドラゴンについての説明は無かった。  この短時間で、二人は昔から知り合う幼馴染みの様に仲良くなりお喋りを楽しんでいた。       ━でも楽しい時間とは長くは続かない━  ……突然ドアをノックする音が聞こえた!? 「「…………」」  幾ら天使(本当は違うが)でも夜中の訪問者、説明しても信じて貰えない可能性が有るので、彼女は急いで僕を窓際のカーテンの裏へと隠した。 「どなた?」 「お嬢様、失礼致します。何やら会話の様なものが聴こえて参りましたので………」  それが、最後に聞こえた会話だった。  僕はカーテンの内側に入れられた瞬間、謎の光に包まれ、また知らない場所へと飛ばされていたのだ……
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