しまった!!

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しまった!!

 それにしても広い部屋だ!?  さっきのカトリーナの部屋も広かったが、ここはその倍の広さが有る。  お貴族様で間違い無さそうだが、無駄に広過ぎると思うのは僕が庶民の生まれだからだろうか?  ベッドの方を見ると、どうやら寝ながらまだブツブツ言っている。夢の中で愛を語っているのだろう……  思わずクスッと笑ってしまった。  それにしても……綺麗な顔立ちをしている。 選ばれた遺伝子って奴だろうか?  男の自分でも思わずポッとしそうだ。    今は女の子の身体になっているので、もし直視したら余計にきまずい。家主がグッスリと寝てる間に部屋をお暇しよう。  今度は何処に転送されるか?  それは分からないけど、発動条件は理解した、ベランダのカーテンを利用すればきっと、また違う場所へ移動できるはずだ。 (多分……できるはずだ)  窓際まで歩いてようやくある事に気が付いた。  さっきから月が見えているこの部屋にはカーテンという物が無かったのだ。 考えが浅はかだったらしい(汗)  どの家の部屋にもカーテンが有ると思い込んでいた。  窓際に近付くとリングが仄かに赤く明滅した、これが彼女が話していた事か!! 指環から小さな光線が窓側に照射されると、何か薄い膜の様なものが出現する。薄くて透明なそれは外の景色を透過し、その為この部屋からも月が見えていたのだ。  もし、カトリーナからこの話を聞いて居なかったら、そのまま触れていたかもしれない。これは防御魔法の一つで、インビジブル・レイメント(見えない羽衣)と呼ばれる。                     ━インビジブル・レイメント━ "王族また極めて王族に親しい身分の屋敷に仕える術者が警備の為、身分の極めて高い王侯貴族の部屋に設置する特殊防御魔法。欠点はこれを使える術者が極めて少ない" 彼女の家も子爵なので決して身分が低い訳では無いが、この魔法を操れるのは侯爵以上の貴族に仕える魔術士と言う。理由は上の説明の通りだ。 と言う事は、いま僕がいる場所は侯爵以上の屋敷に居る事になる……    家主はもちろんのこと、警備の見廻りで護衛の兵に見つかったら偉いことだ。どうしようと思っていたら、突然背後に気配を感じた。 しまった!!  指環が反応しなかったから油断していた。部屋に見張りがいてもおかしく無いのに……  後ろから抱きつく様に捕まってしまった!!  そして両腕がゆっくりと首の辺りを覆う。  このまま僕は羽交い締めにされて、牢獄に連れていかれるのだろうか?
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