我が妻に

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我が妻に

 なんて言い訳をすればいいのだろう?  そう思っていた時、彼は僕を見ながら、ニコニコした表情で言った。 「やあ、こんにちは! 何処かの麗しの姫君」 「アハハハ……ハハ、こっ、今晩わ」 「おっと失礼、今晩は……だったね。所でこんな遅くには訪ねて来ないよう、各屋敷の方々には伝令していたんだけど、参った参った、貴女も待てない人のお一人でしたか(笑)」 「も……?」 「おやおやぁ、違うのですか? 昨日もスフィアーズ伯爵のご令嬢が深夜参られたのでぇ、てっきり、フッ」  昨日もって、案外警備が手薄なのだろうか?    それとも案外治安が良いのか?    それにしても自分はモテるので困った困ったってオーラがムッカつく、まあ実際端正なお顔をお持ちなんですけどねっ…… (どうせならさっきのデコピンをもう二、三倍強めのいっときゃ良かった。)  あれれ?  普通にデコピンしても次の日も痕が残る威力なのに、もうさっきの赤みが消えいている。 「どうしました?」 「いえ、何でも無いのですわ、オホホホ」  そうか、僕は女の子になってるから威力も半減してるんだ。それよりもダンスのように抱きかかえられてるままなんだが、しかも上から『どうしましたお嬢さん』って言う眼差しが熱過ぎて、男だけど気まずい。 (貴族ビームと名付けよう)  まあ、彼にはもちろん何処ぞの令嬢と映っているのだろうが、自分のイメージ的には男が男に抱きとめられているBL的なイメージなので、少しキモい。 「あのぉ~~」 「おっと失礼、ずっと貴女を腕に抱えたままだった、しかしどうして?」 「それは、さっき貴方様が、寝たまま私にお抱きつきになられたのです」 (敬語ムズ……) 「寝たままですか? この私が?」 「はい、カトリーナという方のお名前を、物凄く愛おしく何度もお呼びになられておりましたわ」 「何ということだ! このアイゼンハルト・アイネ・シュタッフェン、心に決めている相手がおりながら、別の女性を抱いてしまうとは一生の恥……」  急に眼力をいれて、 「まさか貴女様にキスを?」 「いえ、『ホッ、よかっ』ただ胸をお揉みに……『た?』……」 「……むっ……胸を……胸を……私は既に貴女の身体を!! 分かりました、責任を持って貴女を我が妻に」  えっ!!
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