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天使はテンシでも
当然疑われるとは思った。
きっと彼の中では、頭がおかしい女か、それとも結婚を拒否する為の逃げ口実だと思っているだろう。まあ後半は当たらずも遠からずなのだが(汗)
さあ、ここからの言動次第でどっちに転がるか分からないから、慎重に答えて行かなくては。
「ドアを開けずに入り、且つ窓のバリアを解除する事無く此処にいます、それに」
「それに?」
「カトリーナさんに頼まれ、貴方へ恋の伝言をお伝えしに、ここに降り立ちました」
「カトリーナさんが、私へ恋の伝言ですか!?」
よし、食いついた。物凄く驚いて見開いた大きな目、そして瞳は嬉しいのか? 爛々としている。
「彼女は貴方の事を愛して居ます、貴方が彼女を愛すのと同じ様に、ワタシは彼女の祈りの力と思いで、鏡から現れました」
「てんしなのですか? 貴女は……その証拠は? いや、彼女に会ったと言う証拠がみたい」
「これが証拠になれば?」
僕は右手を挙げて、彼女から唯一貰った薬指の指環を見せる、すると……
「おおそれは、王族のリングでは有りませんか、これは大変失礼致しました」
そう言うと彼は跪き、どうやら神の遣いの天使では無く、僕のことを天子と勘違いしてしまった。カトリーナは子爵と言っていたけど?
「えーー一体どうなってんの!?」
「はて、天子様どうかしましたか?」
「いえ、何でも有りませんわ、オホホホホ」
今回は天使で無く、天子と言うことにしておこう。
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