僕の嫌いなもの

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僕の嫌いなもの

 カトリーナから貰った指環で、ひょんなことから僕は公爵家で国賓扱いされている。どうやら? とんでもない代物を彼女から貰ってしまったらしい。    これから豪勢な昼食会のおもてなしを受けることになっている。    実は子爵の前は本当は何処かの王族の末裔だったのでは無いだろうか?    今度彼女に会ったらこの指環を返そう、代わりにドレスとか幾つか生活用品を要求すれば、納得して受け取って貰えるだろう。  それにしてもこの指環、一体何処の王族のなのだろう……  てっきりこの国の王族からの褒賞だと思っていた。また、不思議なことにどうやら僕が来たことを外部には漏らさず、内密にしているらしい。  つまりこの国の王様にも別の貴族にも僕の存在は告げていないと言うことだ。  ますます自分の身分が怪しくなってきた。一体何処の王族と思われてるのだろう? もし名前なんか聞かれたら何と応えればいいのか……  素直に雪白 夕(ゆきしろ ゆう)と名乗るべきだろうか?   いや、そんなことをしたらきっと大変なことになる。それこそ最悪牢屋に入れられるか、良くても彼のお嫁さんにされるかもしれない。  いや……さっきからとぉ~~ってもお熱い視線がすぐ隣の彼からでは無く、対面に座るこの屋敷の主人であるお父様から来ているのは気のせいかしら(汗)     気のせいじゃないみたいだ! いま目が合った。    寧ろ彼の愛人にさせられるかも~~  まあ、もしそんな話しが出たら、『何をおっしゃいますぅ~~貴方には既に素敵な奥様がいらっしゃるじゃ無いですかぁ~~』ヨシッ!!  これしかない。  それで取り敢えずクリアーしよう。  テーブルには左にフォークが幾つか、お皿は真ん中、右にナイフとスプーンが置かれている。グラスはと言うとお皿の右上に置かれた配置だ。  祖父の家のテーブルを思い出す……  いわゆるカトラリー(ナイフ、フォーク、スプーン)を扱うマナーはまるでヨーロッパ式だ。昨日飛ばされてから何も食べてない。  お腹の虫が鳴らない事を祈りながら、料理が運ばれるのを待っていた。  一通りのマナーは、僕が幼稚園の頃から祖父から仕込まれていたので、カトラリーの使用にいては問題無いと思う。  ただ……次に気をつけないと行けないのが、イギリス式か? それともフランス式であるのか? そこを見極めてからにしないと、きっとボロが出るだろう。  この世界では、そういう拘りはあまりないのかもしれないが? 祖父とのヨーロッパ旅行の際に、フランスの滞在中の出来事なのだが……  なんと、レストランはイギリスの会社経営で、フランス式で食事を始めた僕は、他の客に嫌な顔をされたのを覚えている。  案外、同じヨーロッパ圏でも……    普段は仲の良い顔をしているだけで、実はお互いの文化を馬鹿にしていたりする。なので、念には念をで、どちらの方式かを見極める必要がある。    テーブルマナーは嫌いだ。
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