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突然の来訪者に
自分が予想していたよりも、遥かにオークションはヒートアップしていた。
未だに終わりを迎えない落札。
一つ嬉しかったことと言えば、あのデブはもう席に座り肩肘をついて不貞腐れていた。多分これ以上出せるお金が無いため、脱落したのだろう。
ざまあみろ!!
でもだからって、安心している場合じゃ無い……。
此処に居れば、何れにせよ誰かに買い叩かれるのは目に見えている。
何とかここから抜け出す方法を考え無くては……
そう思った時だった!!
突然爆発音とともに剣を携えた何人かの武装した集団と、まるで鞭を自分の体の一部様に、自在に操る一人のお姉さんが舞台に飛び込んできた。
彼女はこのオークションのホストを蹴り飛ばすと、見慣れない服を着た僕を見て少し訝しげな目をした後『外に助けの馬車が用意して有るわ、それで一緒に逃げるの、さあ行きなさい』と叫び、僕を舞台裏へ走れと指示した。
一瞬自分も何が起きているのか? 分からなかったので、キョトンとしていると……
「何をやっているの! さあ、早く行って!!」と罵声を上げるように、彼女は叫んだ。
この機を逃せば、間違い無く誰かに売り飛ばされるに違い無い!!
千載一遇のチャンスとは正にこのことを言うのだろう。なんと彼女に言って良いのか分からなかったので、コクリと縦に頷くと、急いで舞台の袖まで走った。
そしてカーテンの様な布を捲り、馬車のある外まで走ろうとしたその時だ!!
不思議な光に包まれると、僕はまた何処かへ移動していた……
気が付いた時には、自分はまた別の場所に足を踏み入れていた……
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