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天使様
ん?
見えている……
のだろうか?
思わず顎に手を当てると、自分と同じ様に彼女も顎に手をあてた。
どういう事だ?
女の子をいくら知らないと言っても、あの顎の手の当てかたは少し変だ。普通は僕と同じ男性が取るポーズじゃ無いだろうか? 女の子の場合は、普通人差し指を顎に当てる感じだ……と思う。
そうそうこの金髪の子の様に。
「あのぉ~さっきから何をされてるのですか? 天使様?」
えっ! 天使?
どこどこ? 天使ってどこ!?
そう思っていたら、チョンチョンと彼女に触れられた。
「えっ、僕? アナタには僕が見えるんですか?」
僕は自分の姿が見えないのに、彼女には僕の姿が見えるみたいなので驚いた。
それにしても何でこんなに声が高いのだろう?
確かにまだ珍しく未だに声変わりはしてないのだが、それにしてもいつもより声が高い。
「はいっ、見えます。ワタクシにはハッキリと天使様!」
先程驚いた表情とは真逆のウットリとした目をして僕の両の手を握る。
……ドクンッ
心臓が跳ね上がる。こんな美しい異国の、いや異世界の美少女に手を掴まれてしまった。これもこれで女の子に馴れるのにはとても良い機会なのだろうが、願わくばもう少し普通の女の子からスタートさせて欲しかった(汗)いや、普通の子って何だ!? と言われたらまずいので、取り合えずこの場で謝っておこう、誰にだよ!?
彼女の体温が自分の手へと伝わるのが分かった。僕は彼女の顔を恥ずかしくてマジマジと見ることが出来ないので、視線を手の方へ移した。
えっ!
誰の手? 物凄く手が小さい。
まさかと思い鏡を見ると、そこには金髪の女の子に手を握られてるもう一人の女の子が映っていた。
「(嘘でしょ?)」思わず、ボソッと呟いていた。
「何が、嘘なのですか? 天使様?」
キョトンとした表情で首をかしげ、彼女は僕(もう一人の女の子)に向かって言ったので、慌てて『何でもない……の』と女の子の振りをして言い返した。すると彼女は僕から手を放し、そしてカーテシーの仕草をした。
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