第3部

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 真崎と並んで、歩きながらラムネを傾ける。微かな風鈴のような音。裏通りだから、さほど人や車の通りも少なくて、静かだ。  こんなに飲めるかな、と心配だったが、案外ぐいぐい飲んでしまった。 「やっぱ、喉渇いてたよね」 「うん。美味しかった」 「今度さ、うちへおいでよ。両親、父方の爺さんの具合がよくなくて、一晩家を空けるんだ。そのときに、泊まりにきなよ」  まだ口の中にあったラムネが噴き出す。 「あれー」  真崎がハンカチで私の制服を拭いてくれた。ハンカチは、紺のチェック柄で、制服のズボンに入れっぱなしだったせいか、変に曲がってクシャクシャだ。急に、このクシャクシャのハンカチが愛おしくなった。私、変態? 「わるい! このハンカチ預かるよ。洗濯して返す」  私はこわばって笑いながら、半ばむりやりそれを自分のバッグにねじ込んだ。 「え、いいの?」  私がハンカチごときに異様な執着を見せたので、真崎はぽかんとしている。とりかえす気にもならないのかもしれない。 「うん! アイロンかけて返すからね!」 「薫って、変な奴。でもそこがまた、気になっちゃってたまんない」  真崎はいたずらっぽく目を細めた。  
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