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第4部
男の子の輪の中に入っていちばん驚いたのは、イヤらしい漫画とか画像とか動画とか、皆こっそり回し見ていること。山田は顔が四角っぽくて、面白いキャラなので女の子ともよくふざけ合っている。でも、いちばんエロ系好きで、女の子とふざけ合うとき、こんなこと想像しているのかと思うと愕然としてしまった。でも、真崎とは仲が良くて、いちばんくだけた間柄。
安藤はわりと成績もよくてクールな感じだったけど、彼も山田が回してくるエロの類はこっそり女の子にばれないように見ている。
真崎は彼らからは本心を隠している奴扱いされてるようだ。
だって、それはそうでしょ? 真崎は僕が好きなんだから。――と自分で思ってからはっとする。やっぱり真崎は、僕が男の子だから好きなの? でも、もう深く考えるのはやめにしよう。だって、はっきりと僕と真崎はお互いの気持ちを伝えあったんだから。今は行きも帰りも一緒。さすがに僕の送り迎えは控えるようになったけれど、どの時間の電車の何両目かを打ち合わせておいて、同じ車両に乗る。そして、きょろきょろ真崎の姿を探し、見つけたときのうれしさったら!
お泊りは今度の金曜日。お泊りって、どうするんだろう? 実は不安の方が大きい。不安の塊のなかに、期待がときどき閃く感じかな。
まだ自分のアレもちょっと怖いし、真崎のアレを見てしまったときのショックは、忘れかけた痛みとしてまだある。
でも、とくに山田のエロ話ばかり聞いていると、女の子のグループも恋しくなってついそちらを見てしまったりもする。仲が良かった麻衣ちゃん、久留実ちゃん、そして、倫子ちゃん。彼女たち、『薫』がいなくなってしまったことがさびしくないのかな、と少し悲しくなる。
ところが、真崎が部活に行ってしまった放課後、一人で図書室で本を探していたとき、急に背後から声をかけられた。この声は倫子ちゃん。いちばん仲の良かった女の子。
「薫くん、ごめん。ちょっといい?」
いったいなんだろう?
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