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くよくよしている男子って、女子に嫌われる。僕も女の子だったころはそうだった。でも、自分が男の子になったからって地の性格がそんなに変わるわけではない。
倫子ちゃんはずっと待っていてくれるけれど、代わりに僕は麻衣ちゃんと久留実ちゃんに呼び出された。屋上。いかにも、という感じのシチュエーションになった。
「ね、薫くん、いつまで待たすの。真崎くんに例のこと訊くの、そんなに大変なこと?」
明らかに怒りを抑えているような硬い表情で麻衣ちゃんが僕に迫る。麻衣ちゃんはバスケ部の星。ショートカットでてきぱきしていて、はっきりものをいう子だ。
「ごめ……」
僕が言いかけると、今度は久留実ちゃんが僕を睨む。久留実ちゃんはアニメ好きで、髪もできるだけ好きなキャラクターに似せられるように、長く伸ばしている。ふだんはおちゃらけている子。でも、今は容赦しないという雰囲気。こんな久留実ちゃんを見るのは初めてで、僕はよけい怖くなった。二人が怒るのは当然だと思っているから、もっと心が弱くなる。
「真崎って、えーと、そういうの秘密主義でさ。なかなか聞き出せないんだ。でも、チャンスを見つけるから、もう少し待ってほしい」
「本当?」
疑わしそうに二人は声をそろえた。
「本当だよ、信じて。お願いだから」
しまった、つい女子のような言葉遣いになってしまった。
「薫くんてさ、何かはっきりしないよね。情けない感じ。倫子がどんな気持ちで頼んだのか、少しは考えてあげて」
きつい麻衣ちゃんの言い方。この二人は男子にかなり手厳しかったことを思い出した。僕は泣きそうになる。
「来週くらいには言えると思うよ」
金曜のお泊りのときに、僕は正直に真崎に言ってみよう。そう僕は観念した。
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