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第6部
昨日は僕が先に帰ってしまったけれど、今日は真崎の練習の終わりを待って、一緒に帰る。また真崎に心配かけたくない。図書室では倫子ちゃんに出食わす可能性大。僕はいったん街へ出て、適当にお店を見て歩く。
思わずショウウィンドウのかわいいワンピースに目が行って、慌ててそらす。でも、モスピンクで、フリルがちょっとレトロな感じで、すっごく私、いや僕好み。もう、あんな服、着られないのかな。
アクセサリーコーナーのきらきらした雰囲気。他校の女子たちが群がっている。いいなぁ。うわ、あのお花のイヤリング、すっごくかわいい。欲しいな。お小遣いでも買えそう。
もともとパーカーとジーンズみたいな、麻衣ちゃんみたいな好みだったら、こんなに切ない気持ちにはならなかったんだろうけど。そうそう、うちのお母さん、かわいいのは好きでなくて、いつも僕のセンスと違う服しか買ってくれなかったんだ。高校を出て、アルバイトができるようになったら、自分で買おうとひそかな楽しみだったのに。
そう思っていたら、涙が出てきた。本当は、かわいい格好をした自分をどこかでちょっとだけ真崎に見せたいな、という気持ちがあった。以前は、本当に好きだけど、どうせ私なんか無理だと思ってたから、せめて、ちょっとだけおしゃれした自分を見て欲しいな、という夢を持っていた。
今は真崎がこんなに近くにいる。信じられない。僕を好きだって、本気で言ってくれている。なのに、切ない。
僕は諦めてメンズのほうに足を運んだ。金曜日のお泊り。……変なこと考えてるわけ……あるけど、ともかく新品のパンツはいていきたいな、と思っていた。僕、よくよく矛盾していない?
また頭がこんぐらかってきた。とにかく、パンツは買っておこう。
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