好き、だからさよなら

3/4
前へ
/4ページ
次へ
 講義が終わってから、彼女がいそうな場所を探した。学食の近くのベンチに、彼女の姿があった。 「あー、やっぱりここにいた」  俯く彼女の隣に、私は座った。 「なんか、不愉快な思いをさせてごめんね。やっぱり、パパ活はやめるね」 「でも、パパ活をやめたって……私を好きになってくれるわけじゃない」  ベンチの上で、体育座りをしながら、私を睨むように見た。 「うーん。だって、恋愛対象が男なのは、変わらないから」 「私じゃ、ダメ?」 「好きだよ。だけど、友だちへの好きであって、ラブにはならないよ」 「……そっかぁ」 「気持ちは嬉しいんだけれど、なんか、ごめん」  身体を小さくして、ポロポロと涙を流す彼女を見て、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになった。私が、私の恋愛観が、他の子たちとズレているせいで、彼女を傷つけてしまった……。もう、あのグループの中に入るのはやめよう。そう思った。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加