好き、だからさよなら

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 大学内には、綺麗な女の子がたくさんいる。いくら嫉妬したって、その子たちには敵わない。でも、近づく努力はできる。新しいお洋服を買いたい、新作コスメを買いたい、綺麗になりたい……。 「え? パパ活とかって、怖くない? どんな人かもわからないよ」 「だけど、お金が欲しいの。もっと綺麗になりたいの」 「えーっ。慶実(よしみ)、今のままでも充分かわいいよ」 「そう言ってくれるのは、友だちだからでしょ」  それは、ちょっとした出来心だった。さっそくパパ活サイトとやらに登録した。すると、待ってましたと言わんばかりに、いろんな男性からメッセージが届いた。 「パパ活なんかやめて、私と付き合ってよ?」  友だちのひとりが、冗談か本気かわからない表情で言った。 「ごめんね。友だちのひとりとしては、好きだけど」 「やだー。あっさり振られちゃった!」  みんなで笑い合った。彼女は美人、なんだけれど、性格がカッコよかった。私みたいなかわいい系とは、真逆だった。綺麗になりたい。かわいいと言われるのは、好きじゃなかった。私は、美人な彼女にいつの間にか、ライバル心を燃やしていた。
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