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01.
「こりゃ、まいったな……」
望遠鏡をのぞいていたウミガメの天文学者はため息をつく。
「どうしたんですか。ウミガメの天文学者さん」
そばを通りかかったヒトデがウミガメの天文学者にたずねる。
「また夜空からいくつか星がなくなったんだよ」
ウミガメの天文学者は夜空を見上げる。ヒトデもまた夜空に顔を向ける。
「そのうち私たちも星泥棒に盗まれちゃうんじゃないかって、心配してるんですよ」
ヒトデの言葉に、ウミガメの天文学者もうなずく。
「ヒトデさんの心配もよくわかるよ」
「でも、ウミガメの天文学者さんもお困りなんでしょう? 私たちなんかよりもずっと」
「そうだな。われわれ天文学者は星座や星の位置を観測して暦を作るし、星図を作る。
みんな暦は毎日見るし、海を渡る者や空を渡る者は星図を見るだろう?」
「そうですね、このあいだも渡り鳥さんが困ってましたよ。夜が来るたびに星が減っているからって。そのうち、方向をつかめなくなるんじゃないかって心配をしてましたよ」
「そうだろうなあ……。このままじゃみんなが困ってしまう。どうにかしないとな……」
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