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「え? なにこれ」  部屋で真剣に課題に取り組んでいた俺の目の前に、突然父が紙袋を差し出してきた。  出張の土産? なら、さっき夕飯の時にもらって食べたし。個別の土産? 珍しくない?  無言の父に怪しむ視線を向けつつ、差し出された紙袋を受け取るためにシャープペンシルを机の上に転がした。  父の手から俺の手へと紙袋が渡った瞬間に、すり足で後ずさった父は部屋のドアの前で一度ピタリと止まった。 「……え、マジで、なに?」  父の行動の意味がわからずに紙袋を持たされている俺は、次の瞬間頭を深く下げる父に驚く。 「すまんっ! 秋介(しゅうすけ)っ。来月のお小遣い上乗せするから、それ、頼まれてくれ! じゃ!」  急に開いた口から飛び出したかと思うと、そそくさと父は片手をあげて部屋のドアを素早く開けて出て行ってしまった。  パタリとしまったドアを見つめる俺。ハテナの浮かぶ頭で、手にしていた紙袋の中身をとりあえず探ることにした。
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