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 小声で呟く父の声が聞こえてきて、その発言に額に汗が滲む。  二万はデカい……その上、この前無くしてものすっごくテンション下がりまくっていたエアポッドが付いてくるだと?  ってか、なんでエアポッド無くしたこと知ってんだよ。言ってねーのに。  頭の中で葛藤を繰り返した俺は、ぐるぐると回るエアポッドと福沢諭吉二人がにやけた瞬間に、頷いていた。 「……わーかったよ! やれば良いんだろっ!」  パタン。  同意を確認した父は何も言わずにドアを閉めて去っていった。  階段を軽快なリズムで降りていく父の足音に代わって、ドタバタと何段登ってきたのか歩数と足音の合わないはちゃめちゃなリズムが聞こえてきたかと思ったら、バーンッと豪快にドアが開け放たれた。  キラッキラに顔面を輝かせたまひろが飛び込んでくる。 「秋介にぃ!! やってくれるの?! ほんと?! 嬉しいっ!!」  ぴょんぴょんっと部屋の真ん中で飛び跳ねるまひろにため息をつきたい気持ちをグッと堪える。  しかし、意を決して、俺は親指を立てるとまひろの方へ向けて笑った。 「おうっ! まかしとけ!」 「キャーー! 楽しみーっ!」  嵐のように去っていったまひろの後ろ姿に、立てた親指に木枯らしが吹いているようで心が虚しくなった。
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