STAGE 1 親友

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STAGE 1 親友

少年は倒れ込み、朦朧とする意識の中で自分の身を案じて名を呼ぶ母の声と遠くから鳴り響くサイレンの音を聞きながら、部屋の床に飛び散った吐瀉物(としゃぶつ)を虚ろな瞳で眺めていた。 少年の身に、何が起きたのだろう? 時を遡る。 黄色いサッカーユニフォームを着た少年はベンチに座り、シューズの紐を結び直した。 そして、深呼吸をした後に立ち上がり、右腕をグルグル回しながら元気良く声をあげる。 「よし!いっちょヒーローになってくるかー!」 そう言いながら、強い陽射しを浴びながらグランドへ向かっていく少年の後を彼の友達が追いかける。 「トオル君なら、きっとなれるよ!」 少年の名は 木尻(きしり) (とおる) 小学3年生 身長135cm 体型 標準 髪の毛は黒 短髪ツンツンヘアー 瞳の色も黒 目は大きくパッチリ二重まぶた 性格は明るく元気溌剌(げんきはつらつ) 身体を動かすこと、漫画を読むこと、ゲームで遊ぶことが好き 苦手なのは勉強、ピーマンが入っている料理 友達の名は 堀笛(ほりふえ) ノエル 同じく小学3年生 身長は137cm 体型 細身 足が長い 髪は茶色 長めの六四分けでサラサラヘアー 瞳も茶色 タレ気味の二重まぶた 中性的な顔立ちで、性格は優しく朗らか 子供サッカークラブで出会った二人は妙に気が合い、すぐに仲良くなった。 それだけでは無くプレイの息も合っており、試合ではノエルのアシストでトオルが点を取るのがチームの勝ちパターンとなっていた。 「トオル君、ナイスシュート!」 「ノエルもナイスパスだったぜ!」 この日の試合もノエルの絶妙なパスからトオルがシュートを決め、チームは勝利を収める。 監督、コーチ、チームメイト・・・皆に褒められるのは、とても良い気分だった。 しかし、4年生になってからノエルは休みがちになっていった。 トオルは心配になって電話をかける。 「よう、ノエル。また具合悪いのか?」 「トオル君、大した事じゃないから心配しないで大丈夫だよ」 「心配するだろ!だって、俺達は親友なんだし」 「親友?」 「なんだ、ノエルは親友も知らないのか。親友っていうのは一番仲良しな友達って事だ!」 「ちょっと違うと思うけど、ありがとうトオル君」 二人の友情は深まっていったが、ノエルは親の都合で転校が決まり、チームから抜ける事になった。 「ノエル、抜けるんだな」 「ごめん、トオル君・・・親友だって言ってくれたのに」 「今だって親友だし、これからも親友だ!一緒にサッカーできなくても、オンラインゲームで遊ぼうぜ!」 トオルからすれば、それは当たり前の事だったがノエルにとってはとても嬉しい言葉だった。 「うん!」 それから数日が経ち・・・二人はオンラインゲームをしながら話をする。 「そういえばノエルって、どこに引っ越したんだ?お母さんフランス人だし、フランス?」 「お父さんの仕事に付き添ってオーストラリアだよ」 「やっぱ、直接会うのは難しい・・・うぎゃー!!」 話に気をとられたトオルは敵にやられて絶叫した。 「トオル君、声大きすぎ!」 「すまん すまん!いや、でもマジでビビった!」 「ちょっと休憩しよう。チームの調子はどう?」 「ん~ こないだの試合は負けた!ノエルみたいに良いパスできるやつがいないんだよなー」 ノエルが去ってから、トオルは点を取れなくなり大人からもチームメイトからもあまり褒めてもらえなくなっていた。 次第にサッカーがつまらなくなり、トオルはチームから抜ける事を決意。 「そうか。またサッカーしたくなったら戻っておいで」 監督は、そう言って笑顔でトオルを見送った。 少しは引き止められるかと思ってたのに、あっさりだったなぁ。 そう思いながら帰宅したトオルは大切にしていたボールとシューズを物置にしまう。 その後もトオルとノエルは直接会う事は出来なかったが、交流を続けた。 月日は流れ・・・桜が咲き、春を迎える。 中学1年生になったトオルの身長は159cmまで伸びていた。 下校を告げるチャイムが鳴り、学生服姿のトオルは元気良く学友達と挨拶を交わして駅へと向かう。 「もうすぐ5月かぁー まだ届かないのかな」 トオルはが届くのを心待ちにしていた。 それは、中学生になると国から支給される電脳世界と現実世界を繋ぐ装置『サイバーダイブポット』である。
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