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電車に乗り、鞄から取り出したスマートフォンにイヤホンを刺して暇潰しにネットニュースを見る。
「電脳世界産業の創業者であり、ミドガル社名誉会長 オルディン・グーニグル氏の八回忌が・・・」
興味無いな、他に面白そうなニュース無いのか?
「銀河戦域プロプレイヤー 一文田 仁選手が療養を理由に引退を表明・・・」
マジか!?大ファンだったのに・・・ショックだな。
「世界人口は27億1500万人と、減少の一途を辿り・・・全世界66ヵ国では・・・」
更に興味無いな。
そうこうしている内に電車はホームに到着し、トオルは駅を出て自宅へと歩き出す。
自宅の前に停まっていたトラックが走り出し、すれ違う。
「今のトラック、もしかして!?」
トオルは慌てて家のドアを開けて母を呼ぶ。
「母さん、今のトラックって取り付け業者!?」
「おかえり~ そうよ~ もう、お部屋に設置してあるわよ~」
トオル母
専業主婦 身長165cm
モデルみたいだと友達に羨ましがられるほど、スタイル抜群
髪は茶に染めていて、ロングヘアー
性格は口調の通り、おっとりしていて優しい
階段を駆け上がり、トオルは部屋のドアを開ける。
そこには、球状の物体が設置されていた。
「これが、サイバーダイブポットか!!」
興奮気味でトオルはポットにベタベタと触れる。
すると、ハッチが開き人が一人入れるスペースとゲーミングチェアー風の座席が現れた。
ゴクッと唾を飲み、座ろうとした瞬間にスマートフォンが鳴る。
画面にはノエルの名が表示された。
「もしもし、ノエル!ちょうど今、届いたんだよポットが!」
「良かったね、トオル君!これで、一緒に電脳世界にダイブできるね」
二人はポットが届いたら電脳世界に※ダイブし、大人気シューティングゲーム『銀河戦域』をプレイする約束をしていた。
※電脳世界に入る事をダイブ 現実世界に戻る事をライズと言う。
「ワールドは銀河戦域、エリアはEで良いか?」
「うん。何時にダイブする?」
「えっと、オーストラリアは時差が二時間くらいだっけ?こっちの時間で7時でどうだ?」
「良いよ。楽しみだな、久しぶりにトオル君に会える!」
「だな!じゃあ、またあとで!」
夕飯と風呂を終えたトオルがポットに触れとハッチが開く。
少し緊張した面持ちで座席に座ると、自動でハッチ閉まり内部のモニターに「ワールド設定を選択して下さい」と表示された。
電脳世界には、数多くのワールドが存在する。
RPGワールド、格闘ゲームワールド、サバイバルゲームワールド等々・・・人々は、その中から自分の好きなワールドを選択して電脳世界を堪能していた。
「銀河戦域ワールドのEエリア・・・アバターとスキンの設定は、面倒臭いから初期で良いや」
容姿は現実の自分そのまま、服はボタンの無いライトグレーの生地にセンターラインが青い学生服風、靴は黒いローファーに設定する。
画面に表示された「電脳世界へのダイブを開始します。目を閉じて下さい」というメッセージに従い、トオルは目を閉じる。
暫くすると「ダイブ完了、目を開けて下さい」と機械的な音声が入り、トオルはゆっくりと目を開けた。
「これが電脳世界・・・動画で見てはいたけど、やっぱりスゲー!」
現実より美しく鮮やかな空、日の光に反射してキラキラ光る近未来的な建物が建ち並ぶ光景にトオルは目を奪われた。
「それにしても、ここはどこだろう?公園みたいな感じだけど」
辺りを見渡すと、自分と同じように電脳世界の風景に驚いている少年、少女の姿が見受けられる。
「ここは電脳世界にダイブした人達が最初に訪れる開始地点なんだよ」
聞き慣れた声の方を向くと、そこには最後に会った時より背が伸び、長めの髪を後で一本に結ったトオルと同じ服を着たノエルの姿があった。
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