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「ノエル!」
「トオル君、やっと再会できたね!」
「オンラインゲームで毎日のように話してるけど、こうして会って話すのとじゃ、やっぱ違うな!背、俺より高いか?」
「そんなに変わらないと思うけど?」
笑顔で再会を喜んでいる最中、「チュートリアルを開始します。ガイドキャラクターを選択して下さい」というメッセージが目前の空間に表示された。
「チュートリアル開始のメッセージが出てきた。ガイドキャラクターは・・・どうせなら、可愛い女の子が良いよな!」
「それ、キャンセルで良いよ。僕が代わりに案内するから」
「え?でも・・・」
「僕の方がトオル君より何日も前からダイブしてるから内容は完璧に把握してるし、待ってる間の時間も無駄にしたくない。大丈夫、僕に任せて」
さっきまでにこやかだったノエルの真顔に若干気圧され、トオルは申し出を受ける事にした。
「そこまで言うなら、任せるぜ!」
ノエルは笑顔に戻り、案内を開始する。
「それじゃあ、始めるね。まず、手首を見て」
言われるがまま自分の手首を見ると、いつのまにか青白いスマートウォッチのような物がつけられていた。
「何だこれ、いつのまに?」
「それはウォッチ型の端末『サイバーウォッチ』って言うんだ。指でタッチしながら音声で入力すると色々な事ができる電脳世界に欠かせないアイテムだよ。ちなみに、設定すれば現実世界の端末とも接続できてデータ共有が可能だよ」
「へぇー!でも、なんか難しそうだな」
「大丈夫、僕が代わりにやってあげるから」
そう言いながら、ノエルは慣れた様子でトオルのサイバーウォッチを操作する。
「僕と通話できるようにもしておいたよ」
「サンキュー!ノエル、めちゃくちゃ詳しいんだな!」
「それは勿論、トオル君が分からない事が無いようにしっかり予習して事前準備していたからね」
「流石、ノエル!でも、それって俺がどうせ分かんないってのを前提にしてるだろ!」
「あはははは・・・じゃあ、次は電脳世界の基本的なルールを説明するね」
笑ってごまかし、ノエルは話を続けた。
「この世界ではDという電脳通貨で様々な物が買い物できるんだ。電脳通貨は現実世界のお金で購入、逆に電脳通貨を現実世界のお金に交換する事もできるよ」
「つまり、課金みたいな感じか?小遣い足りるかなぁ・・・てか、俺って今は一文無し!?」
「ファーストダイブの特典で5000D支給されてるよ。サイバーウォッチで確認してみて」
「えっと、所持金確認・・・本当だ5000Dって表示されてるな!」
「じゃあ、今度は実際に使ってみよう。こっちに来て」
ノエルに連れられ、トオルは建物に立つ。
「トオル君、ドアにタッチすれば中に入れるよ」
「電脳世界のドアはタッチ式の自動ドアなんだな」
建物に入ったトオルは驚きの声をあげた。
「なんじゃこり!?バーガーショップ?何で、電脳世界にこんなのあるんだ?」
「トオル君、好きなハンバーガーは?」
「え?鳥焼きマックスバーガーだけど」
ノエルは店員に鳥焼きマックスバーガーとバニラシェイクを注文し、カウンターに備え付けられたFMCリーダーにサイバーウォッチをかざして決済する。
「現実世界と変わらない感じだよ」
「それは分かったけど、良いのか?」
「勿論、今回は再会を祝して僕がご馳走するよ。向こうの席に座ろう」
席に座り、鳥焼きマックスバーガーを頬張ったトオルは、またもや驚きの声をあげた。
「美味しい!?てか、ちゃんと味がするぞ!?」
「電脳世界は現実世界の身体とあらゆる感覚がリンクしているんだよ。ただし、本当に満腹にはならないけどね。それでも、食欲は満たされるからダイエットになるって評判なんだ」
「へぇー!俺が思ってた以上に電脳世界は凄いところなんだな!」
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