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「武装は基本的に機首下部、両翼の下部、胴体上部にセットするんだよ」 「えっと、機首下に近距離武装、左右翼に中距離武装、胴体の上に中・遠距離のメインウエポン・・・これで良いか?」 「うん。これで出撃できるようになったよ」 ノエルにカスタマイズを教えて貰いながら、トオルは気になっていた事を尋ねる。 「カセウェアリーとかって、まだ手に入らないのか?」 トオルが憧れている銀河戦域の元プロプレイヤーの一文田 仁はカセウェアリーという大型のギャラクシーバードで並み居る強豪達を撃墜していた。 故にトオルはカセウェアリーでプレイしたくて仕方がない。 「カセウェアリーも元はスパロウだよ。ギャラクシーバードをスペックアップさせていくと様々なタイプにエボルブしていくんだ」 「エボルブ?」 「まぁ、パワーアップって感じかな。一概には言えないけど、それはまた今度説明するよ。早く出撃したいでしょ?」 トオルはウンウンと頷き、完成した機体をサイバーウォッチにデータ保存して、カスタマイズを終えた。 「やっと出来たー!」 「時間にしたら、10分ちょっとしかかかってないよ。大袈裟だな、トオル君は」 「マジか?スゲー長く感じたぜ」 「じゃあ、お待ちかねの出撃許可を取りに行こうか」 「おう!」 受付を済ませたトオルとノエルは簡単な説明を受けた後、出撃ルームに入る。 そこには、宇宙空間へと続く滑走路と大型モニターがあった。 「星が見えるぞ!ここから出撃するんだな!」 「ちなみに撃墜されたら、ここに転送されてモニターから観戦ができるようになってるんだよ。じゃあ、ギャラクシーバードを出すから、少し離れて貰える?」 トオルが距離を取ると、ノエルはサイバーウォッチを掲げた。 サイバーウォッチから溢れ出た光が形を織り成し、ギャラクシーバード スパロウが出現した。 「うおー!!ようやく見れたぜ、ギャラクシーバード!!」 「トオル君もギャラクシーバードを出してごらん」 「おう!」 ノエルに習ってトオルもスパロウを出現させ、銀色の翼に触れる。 ひんやりした鉄のような感触にトオルは興奮と感動を覚えた。 「トオル君、操作方法のチュートリアルは必要?」 「大丈夫、動画見て分かってるから!」 ギャラクシーバードは鳥で言うところの頭部がコックピットになっており、そこに触れるとハッチが開く仕組みになっている。 コックピットに飛び乗り、操縦桿を握り締めると興奮は最高潮に達した。 「よし!いっちょヒーローになってくるか!」 「トオル君なら、きっとなれるよ!」 身体に重力加速の負荷を感じながら、二人のギャラクシーバードが宇宙へ飛び立つ。 「出撃したは良いけど、これからどうするんだ!?」 「最初はCPU戦で、敵の方からは攻めてこないから、焦らなくても大丈夫だよ。レーダーを見て」 全天周囲モニターの右側に映し出されたレーダーへと目を向ける。 「12って方向に赤い点があるな。これが敵機か!?」 「うん。先ずはそこへ直進しよう。ちなみに、青い点は味方でミサイルは紫で表示されるよ」 ノエルに従い、直進すると緑色に光る円盤が視界に入った。 「あれが敵機か!」 「あの距離なら中・遠距離戦兵器で攻撃できるよ!」 「つまり、ミサイルかレザーだな!」 「ミサイルは※ロックオンしてからじゃないと発射できないから、注意して!」 ※武器や機体が標的を捕捉して自動的に追尾を行う事。 「なら、レザー砲だ!」 トオルはレーザーを発射し、円盤を撃墜する。 花火のような派手な爆発に思わず見とれていると、次々と敵機が姿を現し、緑色の光弾をトオル目掛けて撃ち放つ。 「うわっ!?直撃した!」 「大丈夫だよ、トオル君。左上にあるバリアーゲージが0にならなければ撃墜されないから。そんなに減ってないでしょう?」 「本当だ、大してダメージを受けてない!よし、反撃開始だ!」 二人が次々と敵機を撃墜させていく中、突如として何かが下から迫り来る。 「な、何かバカデカイ円盤が下から向かって来るぞ!?このままじゃ、ぶつかる!?」 「トオル君、加速して離脱しよう!加速すれば機体の移動速度が倍になるから!」 あわや激突し兼ねない状況を加速により回避した二人は機体を旋回させて巨大円盤をその目に捉える。 「ちょっとデカすぎやしないか!?」 「上から円盤の中心にあるコアを破壊すれば撃墜させられるよ。僕が敵を引き付けてる内にトオル君はコアを!」 「分かった!」 機体を上昇させ、トオルは巨大円盤のコアを確認する。 「あの光ってる球体がコアだな!ロックオンして・・・発射!いっけぇー!!」 ミサイルをコアに向けて全弾発射し、トオルは巨大円盤のコアを破壊に成功。 巨大円盤は大爆発を起こし、宇宙の藻屑となり暗闇の中へと消えていった。
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