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「よっしゃー!」
「やったね、トオル君!」
「ノエルのサポートあってこそだ!ありがとうな!」
画面にゲームクリアの文字が表示され、トオルは無事にCPU戦を終えた。
機体は自動運転に切り替わり、滑走路へと戻る。
コックピットのハッチが開き、機体から降りるとギャラクシーバードは光の中へと消え失せた。
「ふぃ~ 臨場感がハンパなかったな」
「ワールドの中でも、銀河戦域がトップクラスなのが頷けるよね。さぁ、次の人が待ってるだろうからベースに戻ろう、トオル君」
受付カウンターがあるスペースには休憩用のテーブル席があり、二人はそこで休憩を取る。
「実戦っていうか、対人戦でも仲間同士は話しながらプレイできるのか?」
「対人戦のウォーモード中は全体ボイスチャットか予め登録してあるチームチャットでやり取りできるよ」
「なるほど!次からは実戦デビューか?」
「最低3回のCPU戦をクリアしてからだね。次はウォーモードに近い形のCPU戦だよ」
ウォーモードとは、銀河戦域における最もポピュラーなモードである。
総勢12名のプレイヤーが一つの部隊となり、広大な宇宙空間や惑星を舞台に12対12のバトルを繰り広げる。
基本的には残機2、終了時点のポイントを競う。
1機撃墜で1P 基地破壊で5P 敵機全滅か制限時間により試合が終了する。
「まだ2回もCPU戦があるのか。ノエル、対人戦だといきなり強い奴とも戦うのか?」
「それは無いよ。戦績やプレイ時間も加味してランクがつけられるんだ。それに応じてマッチングするから心配ないよ」
「そうなのか。強くならなきゃ、強い奴とは戦えない仕組みなんだな」
「決闘モードなら、ランクに関係無く戦えるけど・・・先ずは初心者らしくのんびりやろうよ」
「おう!」
「さて、今日はこの辺でお開きにしようか」
終わりを告げるノエルにトオルはもっと遊びたいとばかりに「えー!」と声をあげた。
「トオル君のいる日本は、まだ21時くらいだろうけどオーストラリアは23時だからね?あんまり長い時間ダイブしてると睡眠時間が削れちゃうよ」
「そうか。なら、仕方ない。続きはまた明日だな!」
「うん。また明日、おやすみトオル君」
「おう!おやすみ、ノエル」
サイバーウォッチにタッチしてライズを告げ、トオルは現実世界へと帰還した。
「・・・凄かったな、電脳世界。でも、流石に疲れた!寝よう」
疲れていたのは確かだったが、トオルは興奮してなかなか寝つけなかった。
「トオル、トオル!早く起きなきゃ、遅刻しちゃうわよ~」
母に起こされ、トオルは慌てて時計を見る。
「やっば!母さん、起こすならもっと早く起こしに来てよ!」
「母さんもお弁当作ったりで忙しいのよ~」
何とか遅刻を免れたトオルが教室に入ると、クラスメートの話題は電脳世界で持ちきりだった。
皆、俺と一緒で昨日ポットが届いたんだろうな。
そう思いながら、席についたトオルは寝不足のせいでホームルームから居眠りして朝から先生にこっぴどく叱られた。
そんな刺激的な電脳世界にも1ヶ月もしたらスッカリ慣れ、トオルはノエルと共に銀河戦域を満喫していた。
「やっぱ、銀河戦域の醍醐味はウォーモードだな!めちゃくちゃ楽しかった!」
「うん。さっきの試合、トオル君が撃墜数トップだったね」
「ノエルの援護があるから、安心して戦えるんだぜ!それにしても、カスタマイズもスペックアップも難しいな!エボルブしたけど、カセウェアリーにはならなかったぜ」
「何になったの?」
「ファルコン」
「・・・僕と同じになっちゃうね。トオル君は、もっと撃墜数を稼げる火力とスピードを両立した機体が合ってると思うよ。カセウェアリーが難しいなら、イーグルなんかが良いんじゃないかな?」
そんな話をしている最中、突然見知らぬ少女が声をかけてきた。
「詳しいんですね、良かったら私にも教えてくれませんか?」
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