星空と王になった日

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 赤に染まった玉座をただただ、見下ろした。  怪物となった父の残骸は、玉座に半分残る形で座っている。  兄弟たちは父に殺された。 暴走した父は国民を守るため僕が討った。 そして、血に塗れた玉座には誰もいなくなった。  霞む右目を拭った右手も、赤に塗れていた。  誰がこんな運命を決めたんだろう。 父だろうか、母だろうか。それとも神様とやらだろうか。だったら、僕は神様を許さない。  玉座の後ろで、ギラギラとガルディアンナイトと呼ばれる世界を守護する宝石が輝く。次はお前だとでもいうように、僕に玉座に座るよう促す。こいつが父を怪物に変えたというのに。  城の窓から見える星空は、ただキラキラ輝くだけで、僕に何も言ってはくれない。  何も言っては、くれない。  一部始終をずっと見ていた後ろにいた男は「さあ、次は誰を殺すんだ?」と囁く。馬の骨を被った悪魔。意地の悪い笑い方が、僕にはとても悪意に塗れたように見えた。  どこから歯車がずれたのだろう、と回想する。この悪魔と契約してからだろうか。大賢者と呼ばれる前だろうか? それともこの城に生まれた日からだろうか。 「僕は――星になりたいな。次の世代を導く星に。そのために、今よりより良い国を築くんだ」  そのためには笑わないといけない。笑みをたたえて、国民を守って。僕はフォスター国を幸せが溢れる国にしたい。こんな争いだらけの国じゃなくて、いろんな種族が手を取り合って笑い合えるような。  そのために、一度全てを清算しよう。 この国で、この城で何が起きたのか、僕の分かる範囲でそれを記そう。
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