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僕が生まれたのは空に虹が輪を作った朝だった。それはこのフォスター国では吉兆の証。僕は生まれた時から明確な意思があった。漠然とした者ではなくて、確かな意思。これは母に聞いた話だが、稀にそうやって生まれる者がいるらしい。
僕を見て笑う父と、わいわいと騒ぎ立てる兄であろう者たち。僕は母の腕からそれをぼーっと眺めていた。
母やお付き曰く、何を考えているかわからない子供だったようだ。それもそのはず。僕は魔法にしか興味がなかった。人を生かす術、傷つける術、守る術。そして、何かを作り出す術。その全てに興味があった。他はどうでもいい。そんな子だった。
こういうところは今も変わっていないかもしれないけれど。
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