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起き抜けに花屋のお姉さんが頭に浮かび、とくん、と胸が跳ねた。
――楽しかったな。
布団の中で昨日の徒歩下校を反芻する。
幸福感に満ちた清々しい朝だった。とてもいつもどおり学校があるとは思えない。まあ、残念なことにうちの高校には試験休みなんてものは存在せず、今日から平常授業が始まってしまうんだけど。
それでも億劫にも憂鬱にもならなかった。昨日の余韻が負の感情を浄化してくれているんだろう。
徒歩下校をした翌日はいつもそうだが、今回は一味違った。花屋のお姉さんと出会えたことで晴れやかな気分が二割増しになっている。
ショートボブが日本一似合う笑顔の素敵なお姉さん。大学生だろうか、年は二十代前半。髪の色は黒だった気もするし、暗めの色が入っていた気もする。
とにかくあれはいい目の保養になった。
インディゴデニムとか似合いすぎるだろうな。
そんな想像をしたあと、お姉さんは意識から外れた。
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