退:苦しみぬいて死ねばいいのに

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 信じられない事に、佐々木の奴は謝りもせず、部長の指示通り私1人にやり直し作業をさせた。私が反論をしないものだから、このまま嘘を真にできると考えたのだろうか。「急ぎの資料だからね。明日最終チェックをするから、今日中に終わらせておいて」と、目を合わせる勇気は無いようで、逃げるように言って帰った。お陰で真っ暗なオフィスに私だけの夜の出来上がりだ。  孫の代まで呪われろ  ああ、他人を憎みたくはないと思った私は死んだのか。いいや、あいつらに殺されたのだ、私は確かに殺された。  せっかく予防線を張っておいたのに、どんどんどんどん魂が汚れていく。強めの洗剤が必要だ、急ぎで洗う必要がある。 「うそ…… 加賀さん、なんでこんな時間までいるの?」    便利な世の中だ。お急ぎ便で柔軟剤入り洗剤が届いた。
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