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「さっき俺、すごい失礼な態度だったと思う。ごめんなさい。偉そうにアドバイスしたけど、それが加賀さんをもっと苦しめていたらって考えだしたら止まらなくて。怖かったんだ…… 次に会った時、加賀さんが笑えていなかったらどうしようって」
「考えすぎです。それを言うなら、急にあんな深刻な話をしだした私の方が悪いんです。それに結果的に、私は前よりずっと元気ですし」
「それなら良いんだけど。ああ、こんなことならビビらず会いに来ればよかった。加賀さんと過ごせる時間ももう無いっていうのに」
「その事なんですが、私引っ越すのやめました。会社は辞めますが、東京でやりたい事探してもう少し頑張ってみようと思います。まあ、東京に残るからって宮野さんとお会い出来る口実は、私には無いんですが……」
宮野さんはポカンとした顔をして暫くそのまま動かなかった。
「え…… えっ!! うそ、そっか!! そっか…… うん、うんうん! 応援するよ! 口実なんてそんな、愚痴聞きでも転職の相談でも…… デートでもっ! 俺はいつでも時間作りますから」
あんまりにも幸せで、怖気付いてしまいそうだった。この甘い雰囲気が久しぶりで、どうして良いのか分からない。しかしタイミングよく、次は私が降りる駅だった。
「そう言って頂けると、嬉しいです……」
「……あのさ、加賀さん。退職って今月の25日だったよね?それ以降って何か予定入ってる?」
「いえ。25日に送別会を開いてもらう予定で、それ以降は特に何もありませんよ」
「じゃあ翌日の26日、良かったら俺に時間くれませんか?話したい事と、見せたいものがあるんだ」
「もちろん、喜んで」
貴方の話したいことと、私の聞きたいことがどうか同じでありますように。
ところで……
見せたいものってなんだろう……
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