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「やっべ、マジで警備のオッチャンじゃん? なんで? 今日金曜日なのに」
「ちゃんとリサーチしろよ、ショータ」
「どうしよう、どうしたらいい?」
「落ち着いて、皆! ここは一先ず、猛ダッシュよ、目指せ生徒指導室!」
言うより早く、身体を動かした彼女が三階めざして、階段を駆け上がり出す。
「東校舎の見回りが終わったら、きっと西校舎に来るわ。それよりも早く、盗るものとって学校を脱出しないと」
「ねえ、今トルに、盗むって漢字あてたでしょ? 違うからね? 自分のもの取り戻すだけだし」
「どっちでも同じよ、夏休み明けにゲームが無くなっていたらバレちゃうかもしれないでしょ」
「大丈夫、夏休み初日に戻そうと思ってるし」
「なるほど、やっぱ頭いいよね、そこまでちゃんと考えてたんだ! 柏崎くん、さすが!!」
並びながら走る山谷さんに、さっきから何だか違和感を感じる。
なんだろう、このモヤモヤする感じは。
ようやっとたどり着いた生徒会室、タケがその扉に手をかけた。
「あ、開かないよ、ショーちゃん。鍵かかってる」
「マジかよ? どいて、タケ。あ、ホントだ、開かねえ」
レンレンの焦る声に俺は万事休すと頭を抱えた。
「撤退、するぞ」
引くことも大事だ、と踵を返そうとした俺の腕を引き留めたのは山谷さんだった。
「上の窓が開いてる。私があそこから入って中から鍵を開けるから、手伝って、三人とも!!」
ダンゴムシみたいに丸くなったタケを踏み、中腰になったレンレンの背中にあがり、最後に俺の肩に足をかける。
「痛くない? 大丈夫?」
「大丈夫、軽いし」
「お気遣い、ありがと」
山谷さんは最後に俺を踏み台にして無事中に入り込み、生徒指導室の扉を開けてくれた。
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