僕らのミッション

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「もうバレちゃいました?」 「うん、山谷アキはいなかったけど、それと似た名前の人がいるってD組の友達に聞いた。その名前が、いつも僕の後ろに並んでる子だって覚えてたし」  塾内で張り出される模擬テストの結果、一位は僕で彼女はいつも二位。 『やっぱ頭いいよね、柏崎くん、さすが』  初対面なはずなのに、違和感を感じていた。 「僕らの計画知ったのって、塾で?」 「うん、帰り道、前を歩いてた柏崎くんの計画が、楽しそうだなって、思っちゃって、それで……」 「先生に没収されたのがゲームソフトだなんて言ってなかったのに、なんで知ってるんだろって思ってた」 『夏休み明けにゲームが無くなっていたらバレちゃうかもしれないでしょ』  僕らが取り返したいものを知っていたのも、体育館倉庫の鍵を開けることもその時に聞いて知っていたんだ。 「あと……信号でトラックが通り過ぎた後、いなくなったのは」 「……トラックに驚いて草原に転びました」 「なんだよ、それ!」 「良かった、オバケじゃなかった」 「オバケじゃないよ、足はあるし」  恥ずかしそうに笑った水谷さんを見て、タケとレンレンも笑い出す。  山谷アキさんは活発で、だけど水谷ハルさんはいつも目立たないような子だった。  今まで一度も話したことはなく、ひっそりと座っているような子、そんな印象しかなかったけれど。 「ごめんなさい、嘘ついてて……。前から柏崎くんたちが同じ学校なのは知ってて、いつも楽しそうで、友達になりたいなって思ってて。でもA組とD組じゃ学校で声をかけることもできないし。それであの日、計画を知っちゃって、一度でいいから一緒に遊んでみたいなって、その、本当にごめんなさい」 「そっか……、うん、わかった。じゃあ、まずは今日の帰りにアイス奢ることにする」 「え?」 「次会ったら、奢れって言ってたじゃん? あと、水谷さんって、ゲームやってたりする?」 「実は、やってる。柏崎くんの持ってたゲームもやってた」 「んじゃ、やろうよ、一緒に! もう友達、だろ?」  恥ずかしそうに笑う彼女に、僕は手を差し出した。  彼女が僕の手を握ると、タケがその上に、そしてレンレンの手が重なり四人とも笑顔になる。  僕らは、ひと夏のとんでもないミッションをクリアした特別な仲間だ。
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