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二列隣、斜め前に座っていたレンレンの動きがおかしい。
そう思った次の瞬間、何を考えたか、否、何も考えずにだろう。
机の中からソフトを取り出すのが見えた。
待て、レンレン! 今は授業中、ソフトを片付けろ、止めろ、頼む、止めてくれ!!
僕の願いも虚しく、教科書の間に挟んだソフトの固いパッケージを、爪をかけて開けたレンレン。
パカッというマヌケで不可思議な音が、静まり返った教室内に響き渡る。
黒板の文字を書き写していたクラスメイトたちは『何の音だ?』と顔をあげ、音のした方向に視線を泳がす。
当然、先生も気づいたわけで、注目を浴びた先にいたレンレンの手元を確認して、取り上げたソフトを没収し高々と掲げた。
『阿木蓮太郎、授業中にゲームとは、余裕だな? これは夏休みが終わるまで没収! 夏休みの宿題はオマエだけ、プリント十枚上乗せするからな?』
えええ!? と不服そうな声をあげるレンレンだけれど、僕の方が抗議の悲鳴を上げたい。
先生!! そのソフトは僕のです!
学校に持ってきたのはタケで、バカなことをしたのはレンレンだけど、僕のなんで返してください、なんて言えるわけもなく、グッと唇を噛みしめて、心の雄たけびをその場は封印した。
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