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「本当に開いてる」
「あたりまえ」
忍び込む場所の鍵の外し方、なんてわからない。
セキュリティシステムが作動してしまうようなヘマはしたくない。
だったら、と頭を振り絞って考えたのが、シンプルにこれ。
一学期終業式の金曜日、僕はずっと体育館倉庫に隠れていて、先生たちが帰った後その窓から抜け出す。
塾の帰り道で練っていた計画通りだ。
『あら、窓開いてたのね』
帰り際、見回りにきた先生が窓の鍵を閉めに来た時は、マットに挟まりバレないように息を止めた。
暑さ対策の、アイスノン、冷たい水、ミニ扇風機も用意し無事脱出。
中学生だって色々考えてる。
ただ、夏場のマットがあんなに暑くて臭いとは想定外だったけれど。
「これから西校舎三階、生徒指導室に移動する」
二人に任務を伝えた次の瞬間、無駄に大きな音がバァアアアンと体育館にこだました。
まるでバスケットボールでも叩きつけるようなその音に、ビクリと肩をすくめる僕、タケがギャァッと悲鳴をあげ、抱きついてくる。
おそるおそるその音の原因を探ろうと、振り向いた先で、バスケットボールを手にしたレンレンが笑っていた。
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