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「山谷さんって、何組?」
「D組よ」
「あー、どうりで見かけないよね」
僕らの学校は三年間クラス替えなしで、一年、二年、三年のA組からC組までは西校舎、D組からF組までは東校舎に分けられている。
「で、柏崎くんたちは、夜の学校でなにをしているの?」
「それは、こっちの台詞。山谷さんはなんでここにいるの? というか、どこから入ったの?」
「入ったのは、体育館倉庫の窓から。なぜか今日はそこだけ開いていて」
ニヤリと目を細めた彼女は、僕を見ている。
「もしかして、知ってたの? 僕が今日体育館倉庫の窓を開けておいたこと」
「フフッ、さあね? でも、明日になったら気づいた先生や警備員さんに閉められちゃうかもしれないじゃない? だったら今日しかないな、と」
よく見たら彼女の格好も僕らと同じ、黒づくめ。
黒いTシャツに黒いショートパンツ、白い足が見えないようにか黒く長いニーソックスを履いていた。
「まさか、山谷さんも、あの片山先生に何か没収されたの?」
「うん、リップと鏡」
「それなら別に夏休み明けでも良くないか?」
「考えてみて? ひと夏を越したリップ、デロンデロンに溶けてるから! そんなの使いたくないじゃない」
口をとがらせた山谷さんを、わかるわかると慰めるタケ。
おい、タケ、オマエはリップ使ったことあるんか?
「ねえ、目的の場所は皆同じよね? 生徒指導室」
「う、うん」
「じゃあ、一緒に行ってもいい? 一人で心細かったんだ」
「ぜ、ぜひ!!」
「山谷さんは、俺の後ろ歩きなよ、危ないからさ」
声が上ずって嬉しがるタケと、いい恰好をしようとするレンレン。
どうせ目的の場所は同じだしと僕も同意した。
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