24人が本棚に入れています
本棚に追加
「ホントにヤるの? 翔ちゃん?」
ゴクンと生唾を飲み、顔面に『行きたくない、ヤりたくない』を貼り付け、少しばかり震えている武人に舌打ちをした。
ここまで来て、ヤらないとかありえない。
僕と同じ黒づくめの服装をしたヤる気のない二人を睨みつける。
「本来なら、タケと蓮太郎のせいなんだからな? 二人で行くのが正解なのに僕まで来たんだぞ?」
僕の憤りを右耳から左耳に受け流したように、ふっと笑ったレンレンがベッと舌を出した。
「でも、ショータのソフトじゃん? だったら本人も行かないと」
「元はと言えば、レンレンが悪い! 授業中に広げるから」
「ねえ、二人ともケンカしないでよ」
タケの震えた声にため息をつき、夜の校舎を見上げた。
昼間とは違う、おどろおどろしい顔を覗かせる中学校に怯みかける。
怖い、僕だってめっちゃ怖いけど。
意を決して、二人より先に校門を登るための助走をする。
「行くぞ」
「あ、待ってよ、ショーちゃん!」
「タケ、後ろも気をつけろ?」
「ひゃあっ! そんなこと言わないでよ、レンレン」
「頼むから静かにしろよ、二人とも!」
先行きが不安な、夜の始まり。
僕らは今夜、学校に忍び込む。
最初のコメントを投稿しよう!