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とにかくあのうさぎをどうにかして捕まえないと。それで、この世界を戻してもらうにはどうしたらいいんだろうか。何もかもが分からずに途方に暮れる。そんな中で頬杖をつきながら窓の外を眺めれば、男子も女子も混ざったまま進む体育の授業。そこにあるのは不自由ではなく限りなく自由、だった。そして自分もふと気づく、頭では意味が分からないと思っているのにも関わらず気持ちではどこかこの世界に落ち着いてしまっているということに。目の前で起こること全てに否定的になってしまっていたが、無理強いされる下ネタや求められる男らしさが一切ないことにもようやく気づいた。流れに任せて断れずにいたグラビアモデルの胸の大きさについての話や、女子の前で無理に演じる男らしさが今では必要がないんだ。だからってこの世界を受け入れる訳では無いけれど、それでもどこか居心地の良さを感じてしまう。一度気づけば良いところというのは目につくもので、いつも暗い顔をしていた話したこともないクラスメイトが男なのにスカートを履いて笑顔で過ごしているのを見ると少しあたたかい気持ちになった。男子贔屓が酷かった体育教師も、今では板書をしながら男女平等に指名して回っている。
「和希~ここ答えられるか~?」
「あ、えと、分かりません」
「え~じゃあ次~」
普段なら「男なら」と続く説教も無く、授業は進んでいく。ああ、性別が無くなったことで得することもあるのか。けど。
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