第四夜

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「良かったぁ」 風吹さんは安心した声を漏らした。 「さ、行こうか」 オレは風吹さんへ手を差し述べた。 「はい」 風吹さんはオレの手に手を重ねた。ぬくい体温が伝わる。オレは風吹さんの手を握り、祭り会場へとのんびりと向かった。 祭り会場は街の人たちで賑わっていた。そこらかしらで出店が並び、客呼びの声が飛び散っている。 「わぁ!」 風吹さんの歓喜の声が耳に入った。隣を見ると、キラキラとした目で祭りの風景を見つめていた。 「初めてか?」 「いえ、子供の時以来です」 「そっか……。なら、今日はめいいっぱい楽しまないとな!」 オレは風吹さんの手を引いて、立ち並ぶ出店を見て回る。あちこちから祭り特有の食べ物が混ざった香りが漂っていた。焼き鳥、焼きそば、わたあめの香りが客を誘う。 風吹さんへ気になる店があるなら教えてくれと伝えると、林檎飴屋を指差した。 「林檎飴でいいのか?」 「俺、林檎飴を食べながら店を回るのが好きでしたから。ダメですか?」 人の良心へ訴えてくるような眼差しに、オレの胸が射抜かれた。 「わかった。一緒に食べながら回ろうか」 「はい!」 祭りで人気のある林檎飴屋には、人集りができていた。ざっと見た感じ、十人以上並んでいる。主に女性と子供が多い。 「並んでますね」 「どうする? 別の店に行くか? オレは並んでもいいけど」 風吹さんはしばし考えたあと、「並びます。並んで待つのも祭りの醍醐味ですよね?」と、言って、最後尾に並んだ。 オレも風吹さんの隣に並んだ。 順番が来た。 「いらっしゃい! お、珍しいなー野郎二人が林檎飴なんて」 店主が意外そうにオレと風吹さんを見た。たしかに買いに来るのは、女性と子供が主だ。 オレも店主と同じ立場なら同じ反応をしていただろう。 「あの、林檎飴二つください」 「あいよ! 少し待ってな!」
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