18 「相談事」

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18 「相談事」

カフェ“あけぼの”は 農学部の春翔のアドバイスで グリーンも店内に飾るようになり 委託販売も始めた。 「グリーンがあるのは良いわね。 空気が違うわ。気持ちもいい」 小春はマスターに話しかける。 「ありがとうございます。春翔くんの提案なんですよ」 とマスターが答える。 「でも、春翔くん、米村さんのお庭も素晴らしいって言ってましたよ」 「あら、そうなの?手入れは昔は職人がまめに入ってたからよかったけど、今は素人の私たちがやるもんだから ダメよね」 そこにドアを開けて入って来たのは 春翔だった。 「おっ、噂をすればだなぁ」 マスターは笑う。 「今日はアルバイトの日?」 小春も笑顔を見せて聞く。 「あ、いえ、待ち合わせです」 店内を見渡して言う春翔。 「まだお客さん私だけよ」 小春が言うと 春翔は笑顔でカウンターの小春の横へ立った。 「小春さん、こんにちは。お会いできて嬉しいです。一緒にお茶でもしたいのですがもうすぐ いとこが来るので、またの機会にお願いします」 「うふふ。おばあちゃんにお声かけありがとう。いつでもお誘いくださいな」 「おばあちゃんじゃないですよ。僕の理想のマドンナですから」 春翔は笑いながら答える。 マスターがグラスに水を注ぎながら 「マドンナは、僕もですよ。小春さん、モテモテだ。僕と春翔くんはライバルじゃないか?」 「マスターまで、こんなおばあちゃんからかって、もう」 3人で笑い合う店内に、ドアのチャイムが鳴る。 「こんにちは」 入って来たのは制服姿の高校生だった。
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