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凛はいとこの春翔に、幼い頃から恋心を抱いていた。
これだけの美形の凛は、学校でもたくさんの男子に告白されてはいても、恋人と呼ぶような男子は作ることは無かった。
春翔に彼女ができたと聞くと
穏やかではいられないが、身近すぎて
自分の想いを伝える事はできなかった。
進路の相談があると言って呼び出したのは凛の方だった。
凛も高3になる。
今、春翔には恋人は居ないらしい。
想いを告げる決意めいたものを抱き
ここにやって来ていた。
「俺と同じ大学か?農学部?」
「うん、得意な事特別何も無いし、春くんと同じなら安心だし」
「でも、好きな事ないなら、つぶしの効く他の学部がいいんじゃない?」
「同じ大学の学部違い?」
「いや、大学ももっと選べるだろ?凛は成績良い子だしさ。勿体無いよ。俺は元々植物好きだし、じいちゃんも何気に後継者になって欲しい感じだし」
「春くん、継ぐの?」
「今は分からないけど、まぁ好きな事だしね」
春翔と凛の祖父は、ガーデニング会社を経営している。
凛の父は長男ではあったが、全く違うIT企業に就職した。
春翔の母は、桜井家に嫁いだが
夫は祖父の会社に出入りしていたゼネコンの社員だった。そこで今はガーデニング会社を、春翔の父親が継いでいる。
「凛は別に好きな大学行って、好きな事探せば良いよ。キャンパスいくつか見に行って決めれば。新しい友達も出来るだろうし、将来の事は4年間で見つければ良いんだから」
「そうだけど、私は春くんと一緒がいいんだもん」
「凛は幼稚園の時から同じ事言ってるよな」
(その幼稚園の時から、ずっと
春くんが好きなのに)
凛は心の中で呟いていた。
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