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春翔は凛を追いかける事ができなかった。
追いかけたところで、真意を問うたところで、どうしていいかわからなかった。
そのまま席に着いてしまうと
マスターが声かける。
「凛ちゃん、好意を持っているの
わかってたんだろう?春翔くん」
「薄々は。でもいとこですし、妹みたいなもんだからそういう感情
僕は持てませんよ」
「良い子だけどね。難しいね」
マスターも答えた。
「それに僕、今好きな人いるんです」
春翔の言葉に
マスターも小春も思わず春翔の顔を見た。
「片思いなんですけどね。告白も出来ませんが」
「あら、そうなの?春翔くんに想いを寄せてもらえるなんて、素敵ね」
小春が言うと
マスターがサンドイッチを
置きながら
「へえ。春翔くんの好きな人ってどんな人?大学の後輩とか?」
「いえ、違うんですけど
とてもチャーミングで、一緒にいると心安らぐん人なんです」
「じゃあ彼女にすればいいじゃない。告白しちゃえば?」
「いいえ、僕に勿体無いくらい素敵な方だし、僕が告白したところで受け入れてはもらえないと思います」
「それはちょっと悲しい片思いね」
つい小春も口を挟んだ。
「でもね。私も若い頃叶わぬ恋をしたけれど、いまだにその気持ちは消えないものよ。時期が来たら想いを告げられたらいいわね。後悔ない様に」
小春もまた千登勢の顔を思い出していた。
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