18 「相談事」

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放課後の学生たちが ゾロゾロ入ってきて にわかに賑やかになった『あけぼの』の店内。 「さあ、そろそろ行こうかしら」 小春がレジへ向かう。 「あ、僕が会計やっておきます」 春翔がマスターに声かけた。 「ありがとう。頼むよ」 レジのすぐ横にある植木鉢を見た小春が声をかけた。 「この小さな紫色のお花ついてる鉢。 これは何かしら?」 春翔はすぐに 「これはローズマリーですね」 と答えた。 「あ、お料理に使うのだったかしら?」 「そうですねブーケガルニの一つです。肉の臭みをとったりしますね」 「こんな可愛いお花を付けるのね」 「はい。料理にも使えますが 他にも効用あるんですよ。ハーブなので、香りもありますし」 「では、これ頂こうかしら?」 「ありがとうございます。じゃあ 僕も帰るのでご自宅までお持ちしますよ。ちょっと鉢は重いので」 「あら、いいの?ありがとう」 小春と春翔はあけぼのを出た。 祖母と孫にしか見えない2人の 微笑ましい姿をマスターは見送った。 「悪いわね。時間大丈夫?」 「大丈夫です。今日は凛としか 約束してなかったし。帰ったら レポートを書くくらいなので」 「そう。ありがとうね」 「さっき話してた、ローズマリーの効用なんですけど」 春翔が言った。 「うんうん。それって何?」 「ローズマリーの抽出液を使って化粧水が作れるんですよ」 「へぇ。そうなの?」 「はい。美肌とか今風にいうと アンチエイジングってやつです」 「あら、気になるキーワードね」 「小春さん女子力高いですね」 「おばあちゃんでも女子ですから」
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