18 「相談事」

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ローズマリーから作る 「ハンガリーウォーター」と言うのがある。 これにはこんな逸話があった。 中世ヨーロッパ時代、ハンガリー王妃は70歳と高齢であったため、リウマチを患い治療のため使用していたハンガリーウォーターを気に入り体に塗ったり、そのまま飲んだりとして使用したところ、リウマチが治り、みるみる若返り、隣国の20代のポーランドの王子に求婚されたとの伝説がある。 「若返りの水」とも言われていた。 その話をしながら歩いているうち 小春の家の玄関先に着いた。 「そのハンガリーウォーターって、この鉢の葉でできるの?」 「ええ。ネットで検索するとレシピとか出てくるんじゃないですかね?」 「そう、今度探してみるわ。さぁ、着きました。送ってくだってありがとう」 「いえ、僕も束の間のデート楽しかったです」 「さっきのお嬢さん。凛さん?ちょっと心配ね。なるべく早く 連絡してあげた方がいいわ。 他人じゃないんだから、拗らせちゃダメですよ」 「はい。わかりました」 鉢を玄関に運んだ春翔に 小春は 「春翔くん、梅干しまだある? 良かったらまた、持っていく?」 「え?良いんですか?やったあ!」 「今度空き瓶、持って来てね。 いくらでも分けるから」 「はい。ありがとうございます。 僕の明日からはラッキー続きになりそうです」 「何?それ」 「梅はその日の難逃れです」 「あぁ、そういう事ね」  梅干しをいっぱい詰めた瓶を 自転車のカゴに入れて、走り出す春翔。 「よし、帰ったら凛に連絡しよう。 梅干し食べれば上手くいく気がする」 信号待ちで、カゴを見ながら そう思った。
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