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19 「凛.自由になったけど」
凛は自分の部屋で
毛布にくるまっていた。
やっぱりあんな事、言わなきゃ良かった。もう顔合わせられない。
春くん、追いかけてくれなかったし。
「終わったわ」
こうなる事は分かっていた。なんとなく……。
でも実際、落ち込むよね。
涙が流れるままに、毛布は
すでにグチャグチャになり
鼻をかんだティシュは
散乱している。
白い海に溺れてるみたいだ。
息が苦しい。
春くんへの想いを告げることで
心の引っ掛かりは
自由になったけど、こんなに苦しくなるものとは、思わなかった。
足を得て、自由に歩けるけれど
引き換えに声を失った人魚姫みたい。
止めどなく涙は出てくる。
それでも明日はくる。
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