20 「2人の距離」

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その日は、部室で打ち合わせがあった。 凛はあの日以来、部活にも来なくなっていたが 卒業生を送る会があり、演劇部でも寸劇で送り出すことになっていた。 その為、久しぶりに全員顔を揃えた。 この日、珍しく千鳥の方から声をかけた。 「凛さん、変わったよね。なんか輝いてる」 「え?この前の進路指導の時 聞こえてたでしよ?振られたんだよ?私。なんで輝いてるのよ」 「あ、ごめん。聞こえちゃったから」 「ふふふ。ドリちゃんならみんなに言いふらすとかしないだろうと思って、気にせず話しちゃったよ」 「目標が定まってそこに向かう姿、なんかかっこいいなって思って」 「ドリちゃんはいい子だね。私もそうやって素直だったら振られなかったのかな?」 目を逸らす凛を見て、慌てた千鳥は 「ご、ごめんなさい!」 「いいんだよ。気にしないで」 「お勉強頑張ってね」 「ありがとう」 千鳥は少し凛との距離が ここにきて縮まったと思った。 凛は早い段階から千鳥を 「ドリちゃん」とあだ名つけて呼んでくれていたが、あまりに世界が違っていて、自分から声をかけることもなかった。 これから卒業までに、少し仲良くなれるかな?と思いながら凛の綺麗な横顔を眺めていた。
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