20 「2人の距離」

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今日も昼休みの教室には 千鳥と駿太郎が居る。 同じ部活をしていても 特別親しくなったわけでは無い。 特に千鳥は、男子と話をするのが 苦手だし、お互い最初から空気の様に 同じ教室にいる感じだった。 宮下駿太郎。 彼は小学生の頃から、地域の少年野球に 入団し将来は甲子園に行くのが夢。 そして勿論、憧れはプロ野球選手だ。 真っ黒に日焼けした顔と坊主あたまの 駿太郎は、甲子園出場経験もある この高校に入学を決めた。 スポーツ推薦でも良かったのだが 普通に受験をして合格を勝ち取った。 ところが、入学式目前の春休み。 肩慣らしのために、キャッチボールでもしようと、同じ高校に入学予定の同級生と、誘い合って河原へ向かう途中 信号無視の車が駿太郎の自転車にぶつかって来た。 命には別状はなかったが、膝と肩を粉砕骨折してしまったのだ。
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