20 「2人の距離」

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ふと気がつくと、いつも教室にいる女子が居た。やはり机に座ったままボンヤリと校庭を見ていたり、本を読んでいたり、教室に2人きりなのも何だか気恥ずかしい気もするが、自分は行く場所も無い。 そろそろ部活を始める時期に来たけれど、当然野球部以外に考えていなかった駿太郎は、もはや帰宅部か?と思っていた。だが高校3年間をただ無意味に過ごすのも悔しい。 そんな時、いつも教室にいる女子が やけに目立つ女子生徒と話していた。 「ドリちゃん、今度一緒に演劇部入ろう」通る声で話すので嫌でも内容が聞こえてきた。 それに対していつもの女子はボソボソと何か返事を返していた。 「ちょっとそこの男子!君は部活決まってる?その坊主頭は野球部かと思ったけど、違うんだよね?何部?サッカー?」女子生徒が声をかけてきた。 「いや、俺は別に何も。決めてないし、帰宅部になるかも」 「え?だったら演劇部来ない?」 「なんで」「今存続の危機なのよ。特にさ、裏方募集中」 「裏方?」「そう、役者希望は多いけど、裏方やる人少なくてさ」 「そういえば、うちの高校演劇部、結構有名だったっけ?」 「役者に興味なくていいのよ。むしろ役者希望じゃない人募集!」 「へえそうなんだ」 「どう?ドリちゃんもさ、目立つの嫌いだって言ってたからどう?どう?」 「私は……」 相変わらず、消え入りそうな小さな声で何かを話していたあの女子。
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